機器の安全性を左右するアース(接地)は、特に慎重な配線・接続が求められます。アース線は機器のフレームやアースバーに取り付けられますが、この作業時に思わぬ落とし穴に遭遇することがあります。
それは、アース線の取り付け部に塗料が付着しているケースです。
なぜこれが問題なのでしょうか?そして、その問題を解決する効果的な方法として、なぜアルミシールが注目されているのでしょうか?本稿では、アース処理の基本から、アルミシールを使用するメリット、そしてその具体的な活用法までを詳しく解説します。
電気機器のアースは、感電防止や機器の誤作動を防ぐ上で不可欠です。適切なアース接続は、漏電や雷サージといった過電流を安全に大地へ逃がす役割を果たします。
しかし、アース線を取り付けるフレームやアースバーに塗装が乗っていると、この重要な役割が阻害される可能性があります。塗料は電気を通さない絶縁体であるため、アース線との確実な導通を妨げてしまうのです。
この問題を解決するため、現場では塗料をヤスリなどで削り取る作業が行われます。しかし、この作業には以下のようなリスクが伴います。
これらのリスクは、機器の信頼性や安全性を損なうことにつながります。
アース処理におけるこれらの課題を解決する一つの方法が、アルミシールの活用です。アルミシールは、その名の通り、アルミニウム箔を基材としたテープ状のシール材です。
このシールがアース処理に有効なのは、主に以下の3つの優れた特性があるからです。
アース部の保護以外にも、アルミシールは空調ダクトの接合部や電子部品の電磁波シールドなど、幅広い用途で活用されています。その高い応用性は、製造現場の様々な課題を解決するポテンシャルを秘めています。
当社の制御盤製作現場でも、このアルミシールはアース処理に欠かせないアイテムとなっています。
例えば、制御盤に溶接されたアースバーにアース線を配線する際、溶接部やその周辺には塗料が付着していることが少なくありません。従来のヤスリ作業では、塗料を完全に除去できず、表面に凹凸が残ってしまうため、確実な導通を確保することが難しい場合があります。さらに、削った面は剥き出しの鉄が露出するため、腐食の進行も懸念されます。
そこで当社では、このアース部にアルミシールを貼ることで対応しています。
<アルミシール活用によるメリット>
このように、アルミシールは確実な導通性の確保だけでなく、耐腐食性の向上や見た目の改善にも役立ち、総合的な品質を高める上で有効な手段となります。
FAシステムや制御盤において、機器の信頼性と安全性を確保するためには、細部にわたる配慮が不可欠です。アース処理は、その重要な要素の一つであり、単に線をつなぐだけでなく、確実な導通と長期的な安定性を確保することが求められます。
アルミシールのような新しい材料や方法を積極的に取り入れることで、従来の課題を解決し、より高品質で信頼性の高い製品を提供することが可能になります。
現場での作業効率向上と製品品質の向上を両立させるために、アルミシールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。