システム開発者の旬なつぶやき

2025.09.15
制御盤

制御盤DC回路 NPN/PNPの違いと選定ガイド

FAシステムにおいて、制御盤は心臓部とも言える重要なコンポーネントです。その中でも、直流(DC)回路は多くのセンサーやアクチュエーターの駆動に不可欠であり、特にNPNPNPという2種類の回路構成が存在します。これらの違いを理解することは、適切なシステム設計とトラブル回避のために非常に重要です。

NPNとPNP回路の基本的な違い

NPNとPNPの最も根本的な違いは、コモン線(共通線)の接続電位にあります。

  • NPN回路:一般的に、コモン線が0V側に接続されます。電流は負荷を通り、NPNトランジスタを介して0Vへと流れます。主に日本国内のFAシステムで多く採用されています。
  • PNP回路:コモン線が**+24V側**に接続されます。電流は+24V側からPNPトランジスタを介して負荷へと供給されます。グローバルスタンダードとして、特に海外製の機器やシステムで広く用いられています。

このコモン線の違いにより、センサーの出力方式やPLCの入力モジュールの仕様も異なります。

機器選定におけるNPNとPNPの考慮点

FAシステムを構築する際、センサー、PLCの入出力カード、各種アクチュエーターなど、多くの機器がNPNまたはPNPのどちらかの方式に対応しています。システムの仕様に合わせて、適切な方式の機器を選定することが極めて重要です。

例えば、PLCの入力モジュールがNPN仕様であるにもかかわらず、PNP出力のセンサーを接続しようとすると、正常に信号を認識できません。逆に、PNP仕様の入力モジュールにNPN出力のセンサーを接続した場合も同様の問題が発生します。

このようなミスマッチを防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

  • システム全体の仕様確認: 設計段階でNPNとPNPのどちらの方式で統一するかを明確にします。
  • 機器の型式確認: 各機器のデータシートや仕様書で、対応するNPN/PNP方式を必ず確認します。特に海外製品を導入する際には、PNP方式が主流であることに留意しましょう。
  • 互換性の確認: 異なる方式の機器を組み合わせる必要がある場合は、変換モジュールやリレーなどを利用した対応が可能か検討します。

NPNとPNPの混在時の対処法

理想的には、システム全体をNPNまたはPNPのいずれかに統一することが望ましいですが、既存の設備との兼ね合いや、特定の機能を持つ機器が片方の方式しか対応していない場合など、NPNとPNPが混在せざるを得ない状況も発生します。

このような場合でも、コントロールリレーを使用することで、異なる方式間の信号変換を行うことが可能です。コントロールリレーは、NPNまたはPNP機器からの信号を受けてコイルを励磁し、その接点を利用して別の方式の回路をON/OFFすることができます。例えば、PNP出力の信号をNPN入力の機器に接続したい場合、PNP信号でリレーを動作させ、リレーの接点をNPN形式で利用するといった方法が考えられます。

まとめ

制御盤の直流回路におけるNPNとPNPの違いを理解することは、FAシステム設計の基本であり、誤った機器選定はシステムの誤動作やトラブルの原因となります。特に、国内外の仕様の違いを意識し、機器選定時には対応方式を綿密に確認することが重要です。もし異なる方式の機器を組み合わせる必要が生じた場合は、コントロールリレーのような変換手段を適切に活用することで、安定したシステム運用が可能になります。

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