システム開発者の旬なつぶやき

2025.06.08
制御盤

FAシステムにおけるDINレール選定の重要性と注意点

FAシステムを構築する上で欠かせない制御盤。その内部には、リレーやタイマー、ブレーカー、変換器、端子台など、さまざまな機器が搭載されています。これらの機器を効率的かつ確実に設置するために広く採用されているのが、DINレールです。

DINレールとは?

DINレール 比較

DINレールは、ドイツ工業規格(DIN規格)に基づいて標準化された金属製のレールです。日本でいうJIS規格のようなもので、国際的にそのサイズや形状が定められています。

DINレールの主な特長

  • 着脱の容易さ: ねじでの直接取り付けに比べて、機器の着脱が簡単に行えます。これにより、施工やメンテナンスにかかる工数を大幅に削減できます。
  • 省スペース化: 制御盤内の限られたスペースに効率よく機器を配置できます。
  • 標準化されたサイズ: 一般的には幅35mmの「TS35」が広く使用されており、異なるメーカーの機器でも互換性があります。

これらの特長から、DINレールはあらゆる制御盤で幅広く利用されており、FAシステムの構築において非常に重要な役割を担っています。

DINレール選定の落とし穴と考慮すべきポイント

設置イメージ

DINレールの選定は、一見すると単純な作業に思えるかもしれません。しかし、安易な選定は、機器の破損や品質低下、ひいてはシステム全体のロスにつながる可能性があります。特に、海外製品を制御盤に組み込む際には、より慎重な検討が必要です。

機器との干渉問題

レール 高さイメージ

一般的に使用されるDINレールは高さ7.5mmですが、一部の大型機器や海外製品では、レールに取り付ける際の固定ねじが機器本体と干渉することがあります。ねじの頭が機器に当たってしまうと、部品が浮いてしまったり、最悪の場合、落下して破損するケースも考えられます。

BECKOFFカートリッジ

このような干渉を防ぐためには、機器の仕様を十分に考慮し、適切な高さのDINレールを選ぶことが不可欠です。例えば、高さ15mmの「ディープハット」と呼ばれるタイプのレールを使用することで、ねじの頭と部品の間に十分な空間を確保し、平皿ねじなどを使わずにしっかりと固定できる場合があります。

放熱性への影響

PLCなどの熱を発する機器を搭載する場合、DINレールの選定が放熱性にも影響を与えることがあります。ディープハットタイプのように、中板と部品の間に空間ができるレールを選ぶことで、熱がこもりにくくなり、機器の安定稼働に貢献する可能性も考えられます。

まとめ

DINレールは、制御盤製作において品質や効率を左右する重要な要素です。特に海外製品を組み込む際には、一般的な常識だけでなく、設置する機器の具体的な仕様まで踏み込んで検討することが求められます。

適切なDINレールを選定することで、ねじの干渉による部品の破損リスクを回避し、作業効率の向上、そして何よりもFAシステム全体の品質と信頼性を確保することができます。

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