近年、制御盤の製作現場では、省スペース化やメンテナンス性の向上を目的に、盤の天井(天面)を活用した配線が注目されています。特に、大型や横長の制御盤では、従来の側面や正面からの配線では配線ルートが複雑になりがちです。その結果、電線処理が難航するケースや、ドアスイッチなどの部品交換時に配線が邪魔になり、作業効率が悪化する場面も少なくありません。
こうした背景から、天井部分を積極的に活用することで、配線スペースを広げ、作業効率やメンテナンスのしやすさを飛躍的に向上させる工夫が求められています。実際に、ドアスイッチやセンサー、端子台などの部品が盤天面に取り付けられるケースも増加しており、従来の設計では対応しきれない状況が発生しています。そのため、制御盤の新たな設計手法として「天井配線」の重要性が高まっています。
横に長いタイプの制御盤では、各扉にドアスイッチなどを設置する際に、どうしても配線距離が長くなります。従来は側面に沿ってマウントベースと結束バンドを使って配線する方法が一般的でした。しかし、この方法では以下のような課題がありました。
そこで効果的なのが、天井部分に幅40mm・高さ40mmの低背ダクトを設置する方法です。この天井ダクトを利用することで、ドアスイッチからの配線を直線的に天面へ引き上げ、そこから各配線先へスマートに振り分けることができます。
天面に端子台を設置することで、従来の側面端子台方式では難しかった以下のような配線上のメリットが生まれます。
また、配線を短縮できることで、制御盤内部の熱対策や、他の機器との干渉も避けやすくなるため、総合的な制御盤設計の改善にもつながります。
通常、制御盤内部の配線スペースは限られているため、電線が増えると作業スペースが狭まり、トラブル原因にもなります。しかし、天面を配線ルートとして活用することで、内部の配線空間を確保し、以下のような省スペース効果が得られます。
特に、天井にダクトと端子台をまとめて配置することで、他の機器との物理的干渉を回避しやすくなるため、複雑な機器構成でも対応しやすくなります。
実際に横長の大型制御盤で天井配線を導入した例では、各扉裏のドアスイッチ配線がすべて天面の端子台に接続され、そこから制御回路へ分岐される設計となっています。この場合、従来の側面配線では配線のたるみや交差が発生しがちだったのに対し、天面利用によって以下の成果が確認されています。
特にメンテナンス時の作業効率が飛躍的に向上した点が現場から高く評価されています。これにより、メンテナンスコストの削減にも直結しています。
制御盤の設計では、今後さらにコンパクト化・高密度化が求められます。そのため、これまで活用されてこなかった天面の有効利用は、今後ますます重要になると考えられます。特に以下のようなシーンで効果が期待されます。
これに対応するためにも、設計段階から天井配線を見越したレイアウトを検討することが、制御盤設計者にとって重要なポイントとなるでしょう。
東亜エレクトロニクスでは、これまで数多くの盤製作で培った豊富な実績とノウハウを活かし、電線処理が複雑な制御盤においても、天井などの限られたスペースを有効活用した設計・製作が可能です。配線の美しさだけでなく、メンテナンス性や作業効率にも優れた盤をご提供いたしますので、お困りの際はぜひご相談ください。