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レールのない搬送。ベッコフXPlanarの動きを、実機デモ動画でご覧ください

搬送といえば、コンベア、インデックステーブル、シリンダ。 ラインのレイアウトは「機構で決まった動き」を前提に組み、 品種が増えれば治具を足し、レイアウトを変えたければ機械を作り直す—— 生産技術の現場では、これが長らく当たり前でした。

その前提を外しにかかっているのが、ベッコフオートメーション(Beckhoff Automation)の XPlanar(エックスプラナー)です。 まずは、実機のデモ動画をご覧ください。

DEMO磁気浮上で自由に動く、XPlanarの実機デモ

XPlanarスターターキット(APS9002)による実機デモ/再生時間 約55秒。 2枚のタイルの上を、2台のムーバーが非接触で浮上したまま走行します。 左側に見えるのが、システム全体を制御しているベッコフの産業用PC(IPC)。 タイルとIPCをつないでいる緑のケーブルがEtherCATです。
0:00〜
2台のムーバーが、それぞれ独立した経路でタイル上を走行します。レールもチェーンも、駆動用の可動部品もありません。
0:14〜
走行しながらムーバーが傾く動きが現れます。XPlanarは搬送面上の移動だけでなく、昇降・傾斜・回転までを同じ1台で行えます。
0:30〜
2台が間隔を詰め、すれ違い、また離れる。走行順序も停止位置も機構ではなく、すべてソフトウェア上の指令で決まっています。
0:50〜
引きの画。タイル2枚とIPC 1台が、可搬ケースに収まっているのが分かります。

1. 動画で起きていること——「レールのない搬送」

動画の黒い板は、コイルを内蔵したタイルです。その上を滑っている2枚のプレートがムーバーで、 中に永久磁石が入っています。タイル側のコイルが作る磁界でムーバーを浮かせ、同時に動かす。 ムーバーとタイルはどこにも接触していません。

ここから、機構搬送では出てこない性質が生まれます。

  • 経路が固定されない:レールがないので、搬送面上はどこでも通れます。品種が変われば、経路をソフトで変えるだけです。
  • ワークごとに違う動きができる:ムーバーは1台ずつ独立して制御されます。A品は工程2を飛ばす、B品は検査工程で3秒止める、といった制御が同じ搬送面の上で同時に成立します。
  • 搬送しながら位置決めできる:XPlanarは最大6自由度(前後・左右・昇降+3軸の回転)を持ちます。搬送面上を運ぶだけでなく、持ち上げる・傾ける・回すまでムーバー自身が行えるため、専用の位置決め機構や反転機構を減らせます。
  • 摩耗しない・発塵しにくい:擦れる部品がないため、摩耗粉が出ません。動作音も静かです。

2. XPlanarの主な仕様

動画で使用しているのは、ベッコフが提供するXPlanarスターターキット(APS9002)です。 タイル2枚とムーバー2台、ソフトウェア導入済みのIPC、サンプルプログラムが一式になっており、 箱から出してすぐに動作を確認できる構成になっています。

項目仕様
駆動方式タイル内蔵コイル(固定側)+ムーバー内蔵永久磁石(可動側)による平面モータ。非接触で浮上・走行
自由度最大6自由度(X・Y・Z+a・b・c軸の回転)。360°回転にも対応
傾斜・リフト傾斜 最大5°/リフト 最大5 mm
速度・加速度最高速度 2 m/s / 加速度 最大10 m/s²(APS4322タイル使用時)
位置精度位置分解能 1 µm / 繰り返し精度 ≦±10 µm(同上)
可搬質量ムーバー1台あたり0.6 kg(APM4220)〜4.5 kg(APM4550)。さらに複数のムーバーをグループ化して1つのワークを支持すれば、「1台あたりの可搬質量×台数-治具フレーム質量」まで搬送可能
タイル(APS4322)240 mm × 240 mm × 66 mm / 質量 5.6 kg / AC100〜240 V・DC24 V のワイドレンジ電源対応(連続200 W)
接続・制御タイル間はデイジーチェーン接続。EtherCATでIPCと接続し、TwinCAT(IEC 61131-3)から制御
環境対応非接触・無摩耗・低騒音。ステンレス/プラスチック/ガラスの表面オプションにより、食品・医薬分野の清浄性要求にも対応

タイルは並べて敷き詰めることで搬送面を拡張できます。 「まず1工程だけ試し、うまくいったら面を広げる」という進め方ができるのは、生産技術としては扱いやすい特性です。

3. これを可能にしているのは、IPCによる統合制御

ここが本題です。XPlanarのような動きは、専用コントローラを買ってきて配線すれば動く類のものではありません。 複数のムーバーの位置をリアルタイムに把握し、衝突を避けながら、それぞれに別々の経路指令を出し続ける必要があります。

これを支えているのが、ベッコフのPCベース制御—— シーケンス制御・モーション制御・画像処理・計測・データ収集を、1台の産業用PC(IPC)上のソフトウェアとして実行するという考え方です。

IPC+TwinCAT 3+EtherCAT

  • IPC(産業用PC):DINレール取付の超小型モデルから、盤内設置のハイエンドモデル、タッチパネル一体型まで展開。一般的なPCと異なり、完全ファンレス・耐振動・耐熱の堅牢設計と長期供給に対応した産業用のPCです。同じソフトウェア環境のまま、必要な演算能力に応じてハードだけを選べます。動画に写っている小型のIPCが、この搬送システム全体を制御しています。
  • TwinCAT 3:PLC(IEC 61131-3準拠のラダー/ST等)、モーション(NC/CNC)、ロボティクス、画像処理、計測、データ解析・IoTまでを同じプロジェクト、同じ変数空間で扱えます。開発環境はMicrosoft Visual Studioに統合されています。
  • EtherCAT:伝送速度100 Mbit/s(EtherCAT G/G10では1・10 Gbit/s)、有効データレート90%以上、分散クロックによる同期精度はジッタ1 µs未満。1セグメントあたり最大65,535デバイスを接続できます。

現場目線でいうと

「画像の判定結果を、次のスキャンでPLCの変数としてそのまま使う」 「ムーバーの位置指令と検査結果を、同じ時間軸のログとして残す」—— つまり機器間の受け渡しのための作り込みが要らなくなるということです。 XPlanarは、この統合制御が実際に何を可能にするかを、いちばん分かりやすい形で見せてくれる事例だと言えます。

4. 生産技術・設備保全から見た、4つのベネフィット

観点 従来の搬送システム
(機構搬送+汎用PLC)
XPlanar搬送システム
(XPlanar+IPC統合制御)
段取り替え 治具交換、ストッパ位置の調整、場合によっては機械改造。立ち会いと現場調整が必要。 経路とピッチをソフトで変更。品種追加が機械改造ではなくプログラム変更で済む。
レイアウト変更 コンベア長・分岐・戻りラインの作り直し。工期と費用がかさむ。 タイルを並べ替え・追加して搬送面を再構成。工程順の変更はソフト側で吸収。
保全 チェーン、ベルト、軸受、シリンダ——摩耗部品の定期交換と在庫が前提。 接触部がないため摩耗部品が原理的に少ない。給油・張り調整といった日常保全が減る。
データ活用 搬送実績の取得が後付け開発になりがち。トレーサビリティは別システム。 ワーク1個ごとの位置・時刻が制御側に元から存在する。実績収集・トレースに展開しやすい。

とくに効きやすいのは、こんな工程です

  • 多品種少量で、段取り替えが頻繁な組立・検査ライン
  • 工程ごとにタクトがばらつくライン(速い工程が遅い工程に引きずられている)
  • 清浄度が求められる食品・医薬・電子部品まわりの搬送
  • 搬送中に姿勢を変えたい(傾ける・回す・持ち上げる)工程
  • 将来のライン増設・工程組み替えが読み切れない新規設備

逆に、検討の初期に確認しておきたいこと

公平を期すために、検討の順序も書いておきます。まず決まるのはワーク質量からのムーバー選定です。 1台で足りなければ複数台をグループ化して支持する構成が取れるため、 「重いから使えない」と早い段階で切り捨てる必要はありません。ただし台数が増えれば治具フレームの質量も効いてきます。

もう一点は搬送面の広さです。面を広く取るほどタイル枚数と電源容量が必要になります。 「どの工程を、どの範囲でXPlanarにするか」という切り分けが、費用対効果を決める最初の分岐点になります。 ワークサイズ・質量・タクトをお聞かせいただければ、この見立てからご一緒します。

5. 東亜電機カンパニーがご提供できること

東亜エレクトロニクス株式会社 東亜電機カンパニーは、工場設備の自動制御システム(FAシステム)を、 制御ソフトの設計から制御盤のハード設計・組立配線、現地据付・立ち上げまで一貫してお引き受けしています。

1. ソフト設計とハード設計を、同じ社内で完結

制御ソフトウェアの設計と、制御盤・操作盤・動力盤の設計・組立配線を一社で担います。 XPlanarのように「ソフトで何をやらせるか」と「盤・電源・配線をどう構成するか」が表裏一体になる案件では、 この往復を社内で回せることがそのまま手戻りの少なさになります。

2. 一品モノ・複雑仕様・短納期への対応力

制御盤・操作盤・動力盤は量産品から一品モノまで対応。経験豊富な設計者が仕様を汲み取り、 複雑な要求にも短納期でお応えすることを自負しています。 設備更新は「ラインを止められる期間」が決まっている仕事です。その制約から逆算した進め方をご提案します。

3. PLC更新・レトロフィットの実績

既設PLCの世代交代・メーカー間の入替を含む、制御盤内の更新案件を数多く手がけてきました。 「既設の配線図がない」「当時の担当者がいない」といった状態からの現調・図面起こしも含めてご相談いただけます。

4. 搬送だけで終わらせない、生産システムとしての提案

ポカヨケ・アンドン・デジタルピッキング・トレーサビリティ・AGVによる搬送自動化など、 生産指示・実績収集の仕組みまでを含めてご提案できます。 XPlanarで取れるようになったワーク単位のデータを「現場が使える形」に落とし込むところまでが守備範囲です。

5. 海外拠点への展開にも対応

米国(TOA SE, Inc./ケンタッキー州)、タイ(TOA SE (Thailand) Co., Ltd./バンコク)の現地法人を有し、 北米・中国・タイでの設計・製造・現地対応が可能です。海外仕様(米国仕様・EU仕様)の盤組立にも対応しています。 国内で立ち上げた設備を海外拠点へ横展開する際も、同じ思想のまま展開できます。

6. 実機デモをご覧いただけます

動画でご覧いただいたXPlanarは、可搬ケースに収めたデモ機です。 「動画では分かったが、自社のワークで成立するのか」——そこから先は、実物を見ていただくのが早いと考えています。

貴社にお持ちしてのデモンストレーション、あるいは弊社でのご確認を承っています。 実際のワークサイズ・質量・タクトをお聞かせいただければ、成立性の見立てとあわせてご回答します。

こんなご相談から承っています

  • 「多品種の組立ラインで、段取り替えの時間を削りたい」
  • 「工程ごとにタクトがばらついていて、ライン全体が遅い工程に引っ張られている」
  • 「クリーンな環境で、発塵の少ない搬送方式を探している」
  • 「搬送しながらワークを傾けたい・回したい。専用機構を作らずに済ませたい」
  • 「XPlanarに興味はあるが、自社のワーク質量・サイズで成立するか判断できない」
  • 「制御は決まっているので、盤の設計・製作だけをお願いしたい」

構想段階のご相談でも構いません。現状の設備構成と、実現したいことをお聞かせいただければ、 XPlanarが適しているかどうかを含めてご回答します。

実機デモ・技術相談のご依頼はこちら

XPlanarのデモンストレーション、設備更新のご計画、制御盤の設計・製作まで承ります。

052-623-4300

東亜エレクトロニクス株式会社 東亜電機カンパニー(受付時間はサイト表記に合わせてご記入ください)

お問い合わせフォームはこちら

※本記事に記載のXPlanar/EtherCAT/TwinCAT 3/産業用PCの仕様値は、ベッコフオートメーション公開情報にもとづきます。仕様は構成により異なりますので、最新かつ正確な情報は各製品ページをご確認ください。
※XPlanar®、EtherCAT®、TwinCAT®は、ドイツ Beckhoff Automation GmbH の登録商標およびライセンス済み技術です。
※動画は弊社にて撮影したデモ機の動作です。

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