
製造現場の省人化・省配線化が進む中、制御盤の配線手法も大きく進化しています。本記事では、急速に普及するフェルール端子台の特性と、日本の電線サイズ(SQ)との読み替え時に発生しやすい「1.5SQ用端子台の落とし穴」を解説し、トラブルを防ぐ正しい選定のポイントをご紹介します。
日本の制御盤製作や機内配線においては、長らく丸型やY型の圧着端子とねじ式端子台の組み合わせが主流でした。これらは確実な接続が可能な反面、ねじの緩み防止のための増し締め作業や、作業者の熟練度による品質のばらつき、配線工数に多大な時間を要するというデメリットを抱えていました。
近年、省配線化や工数削減の観点から、海外発祥のプッシュイン式フェルール端子台の採用が急速に増加しています。特に変換端子台や分岐端子台、機器への配線端子台としての利用が広がっており、専用工具で圧着したフェルール端子を差し込むだけで結線が完了します。これにより、作業者のスキルに依存しない均一な施工品質の確保と大幅な工数削減を実現し、多くの製造現場で標準化が進んでいます。
フェルール端子台は欧州発祥の技術であるため、端子台の仕様はAWG(アメリカンワイヤーゲージ)やそれに準拠した断面積(1.5SQ、2.5SQなど)の基準で分けられています。日本の製造現場で用いるJIS規格の電線を使用する際、「1.5SQ用端子台には1.25SQの電線を」「2.5SQ用端子台には2SQの電線を」と読み替えて選定・配線することが一般的となっています。
しかし、ここに大きな落とし穴が存在します。多くのメーカーにおいて、2.5SQ以上の端子台ではそれぞれの仕様の最大サイズまで絶縁スリーブ付きフェルール端子が接続可能です。ところが、「1.5SQ用の端子台」のみ構造が少し特殊になっており、「絶縁スリーブ付きフェルール端子」を使用する場合、スリーブ部分の干渉により実際には「1SQ」のサイズまでしか接続することができません。この特性を把握せずに従来の感覚でサイズを読み替えてしまうと、現場での組み付け時に想定外の配線トラブルを引き起こす原因となります。


仕様上限を超えるサイズのフェルール端子を無理に挿入しようとすると、接点が正しく噛み合わずにケーブルがすぐに抜け落ちたり、挿入できたとしても端子台の左右が膨張して隣接する端子台やDINレールへの取り付けに支障をきたすなどの不具合が発生します。
特に制御盤の配線において、1.25SQの電線はコモン配線として頻繁に使用されます。基本的にフェルール端子は、短絡防止や安全性の観点から「絶縁スリーブ付きフェルール端子」を使用することが推奨されます。しかし、1.25SQの電線に絶縁スリーブ付き端子を圧着し、読み替えたつもりで1.5SQ用端子台に接続しようとすると前述の制限に引っかかります。したがって、1.25SQのコモン配線を行う場合は、ワンサイズ大きい2.5SQ用の端子台を選定するなど、事前の設計段階で慎重な機器選定が必要です。
製造業のグローバル化に伴い、北米や欧州向けの輸出設備を中心に、フェルール端子台や海外規格への準拠は不可欠となっています。AWGとSQの違いなど、規格間による細かな仕様の差異を正確に理解し、正しい部品選定を行うことは、現場トラブルの未然防止だけでなく、設備の安全性と長期的な信頼性の向上に直結します。海外の先進的な配線方式を適切にシステム設計へ取り入れることが、将来的な保守性の向上や競争力強化に繋がります。
東亜エレクトロニクスでは、長年にわたるFAシステム設計と制御盤製作の実績を持ち、国内仕様から北米(Allen-Bradley等)向けのグローバル規格まで幅広い電気設計に対応しています。今回ご紹介したフェルール端子台の選定ミスによる抜けや膨れといった現場トラブルを未然に防ぐため、確かな知見に基づいたハード設計と高品質な機内配線工事をご提供いたします。制御盤製作でお悩みの際はぜひご相談ください。